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韓国中小ベンチャー企業部、技術奪取の根絶策を公表

  • ニュースレター
  • 2025.10.17

韓国中小ベンチャー企業部は2025年9月10日、中小企業技術の奪取(技術の不正取得)を根絶するための総合対策を発表しました。主な内容は、韓国型の証拠開示(ディスカバリー)制度の導入、行政機関の資料提出命令権の新設、行政調査の強化、損害額算定基準の改善等です。

 

今回の対策は、技術保護環境の整備および損害賠償の実効化に大きな転換点をもたらしたものと評価されます。今後、韓国の中小企業技術保護法のみならず、産業技術保護法・不正競争防止法等、関連法令全般の改正や制度改善へとつながる可能性が高く、具体的な法制化プロセスの行方に注目する必要があります。

 


1. 中小ベンチャー企業部 「中小企業技術の奪取根絶策」を公表

2. 主要内容

3. 示唆


 

1. 中小ベンチャー企業部 「中小企業技術の奪取根絶策」を公表

 

韓国中小ベンチャー企業部は2025年9月10日、「中小企業技術奪取根絶策」を発表しました。本対策は、韓国型の証拠開示(ディスカバリー)制度の導入など、注目すべき制度・手続の新設を予告する内容となっています。

 

 

2. 主要内容

 

ア. 韓国型証拠開示(ディスカバリー)制度の導入

 

技術紛争における情報の非対称性を解消し、被害企業の立証負担を軽減するため、「韓国型の証拠開示制度」の導入が予定されています。これは、訴訟相手方の求めに応じて資料や証拠の提出を義務付ける米国型のディスカバリー制度の趣旨を、韓国の実情に合わせて設計のうえ導入しようとするものとみられます。

 

 

 

イ. 行政機関に対する資料提出命令権の新設

 

損害賠償訴訟において、裁判所が中小ベンチャー企業部および公正取引委員会などの行政機関に対し、行政調査資料およびデジタル証拠資料の提出を命ずることができ、未提出の場合には5,000万ウォン以下の過料を科すことができるようにする根拠規定を整備する予定です。

 

 

ウ. 行政調査による侵害の立証

 

技術奪取について、被害企業に限らず誰でも匿名で通報できるようにし、必要に応じて中小ベンチャー企業部が職権で調査を実施できる権限を付与することで、調査の実効性を高める予定です。

 

 

エ. 損害額算定基準の見直しおよび専門機関の指定・運営

 

損害額の算定基準を「技術開発に投入した費用」を中心とするように見直し 、裁判所が客観的な損害額評価のために専門機関へ算定を嘱託できるようにする法的根拠を整備しました。

 

 

3. 示唆

 

今回の対策は、中小企業の技術保護に向け、証拠確保、損害賠償の実効化、行政調査の強化など、実効的な手段を拡充しようとする試みと解されます。さらに、中小企業技術保護法のみならず、産業技術保護法・不正競争防止法等の関連法令全般の改正および制度改善へとつながる可能性があるため、今後の具体的かつ実質的な法制化プロセスの行方に注目する必要があります。

 

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