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ソウル高等裁判所は、LEDチップを開発する半導体会社の未登記役員(執行役員に相当)の労働者性を認めた原審判決を覆し、原告勝訴の判決を言い渡しました。労働委員会およびソウル行政裁判所がいずれも未登記役員の労働者性を認めていたにもかかわらず、ソウル高等裁判所は、登記役員であれば労働者ではなく、未登記役員であれば労働者であるという単純な図式で労働者性の法理を判断することはできないことを明らかにしました。本判決は、雇用関係の実質および労働者性の判断基準を綿密に検討した結果、未登記役員の労働者性を否定した事例であって、類似の争点がある事件に重要な示唆を与えるものと評価されます。
1. 事案の概要
2. 当所の弁論及び裁判所の主要判断
3. 示唆
1. 事案の概要
原告はLEDチップを開発する半導体会社であり、参加人は原告のEPI(Epitaxy)開発グループの主任研究員であったところ、その後役員に昇進し、EPI開発グループ総括責任者、VB(Visible Blue)開発総括担当役員、EPI製造グループ担当の未登記役員として業務を行ってきました。
原告が参加人との委任契約を解除すると、参加人は自己の労働者性を主張して不当解雇救済申請を行い、地方労働委員会・中央労働委員会およびソウル行政裁判所は参加人の労働者性を認め、契約解除を不当解雇と判断しました。これに対し、ソウル高等裁判所(以下「裁判所」)は参加人の労働者性を否定し、第1審判決を取り消しました。
2. 当所の弁論及び裁判所の主要判断
当所は原告会社を代理し、未登記役員であるということだけをもって労働者性を認めるべきではなく、労務関係の実質に基づき具体的に判断すべきである旨を積極的に主張しました。
とりわけ当所は、参加人について、①社内において広範な最上位の専決権限を有していた点、②会社の経営上の重要事項の決定に関与していた点、③新製品の市場導入の全過程において新製品開発の承認権限を有していた点、④組織改編および人事発令に直接関与していた点、⑤会社から勤怠管理や統制を受けていなかった点、⑥従業員と異なりMBO(Management By Objectives)に基づくボーナスを受け、マイナス・オプションを選択してマイナス(減額)ボーナスを受領したこともある点など、最上位役員としての権限・責任および従業員と区別される事情を積極的に主張・立証しました。
裁判所は、これらの主張をいずれも採用し、未登記役員の労働者性を否定しました。
3. 示唆
本判決は、未登記役員の労働者性に関する訴訟事件において重要な判断基準を示すものと評価され、特に以下の点で意義があります。
① 本件において裁判所は、権限・責任の行使、経営上の主要な意思決定への関与、勤怠管理の有無、利益・損失の負担といった要素に着目して未登記役員の労働者性を否定しました。 退職金の精算や社会保障制度の適用といった要素のみでは労働者性を肯定するには足りないと判断し、最高裁が形成してきた労働者性の判断基準および立証責任に関する法理に忠実に則り、労働者性の認否を厳格に審査する傾向を示したものです。
② 従来、裁判所は未登記役員について、登記役員とは異なり労働者性を広く認め、相当数の判決で代表取締役への報告や意思疎通の過程をすべて労働者として指揮・監督を受けたものとみなす傾向にありました。これに対し本判決は、役員と会社との委任契約の本質を的確に捉え、代表取締役から一定程度生じる指揮・監督を直ちに役員の労働者性の徴標とは評価せず、委任契約という法的関係においても十分に生じ得る事柄であると判断しました。
結局、未登記役員の労働者性の判断は、労務提供関係の実質を成す具体的事情によって左右され得るため、個別事案の特性を綿密に検討したうえでの法的対応が必要となります。
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