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最近、韓国大法院は、遺言代用信託により死亡後の受益者が委託者の死亡後に信託財産たる不動産の売却代金に係る受益権を取得した場合、取得税の課税対象ではないと判示しました(韓国大法院 2025年9月25日言渡 2025ドゥ33790判決)。
1. 事案の概要
2. 判断の理由
3. 示唆
1. 事案の概要
原告Aの父方の叔母Bは、2019年12月、約13億韓国ウォンとソウル市江南区にあるマンション、慶州市にある林野の3分の1持分について、生前の受益者をB本人、死亡後の受益者を甥であるAおよびAの家族と定め、C銀行との間で遺言代用信託契約を締結しました。同信託契約によれば、委託者が死亡するとC銀行がソウル市江南区のマンションを売却し、その売却代金に係る受益権を死亡後の受益者が取得することになっています。信託契約に基づき、Bはソウル市江南区のマンションについてC銀行名義に所有権移転登記を完了しました。その後、Bが2020年3月に死亡したことを受けて、C銀行はソウル市江南区のマンションを約20億韓国ウォンで売却し、AおよびAの家族は死亡後の受益者としてマンション売却代金に係る受益権を取得しました(因みに、Bの死亡当時、Bの兄弟の一部は存命でした)。これに対し、ソウル特別市江南区庁長は2021年4月、Aに対し、Aが2020年3月に亡きBから同マンションを、相続を原因として、取得したとして、取得税および地方教育税を課しました。
2. 判断の理由
大法院は、以下の理由により江南区庁長の取得税賦課処分は違法であると判断しました。
• 韓国信託法第59条による遺言代用信託においては、委託者が死亡すると、受益者となる者に指定された者は受益権を取得する。もし、その受益権が、受託者に対して信託財産たる不動産についての所有権移転登記を請求し得る権利など、受益者が受益権の行使を通じて信託財産の元本である不動産を取得し得るものである場合には、受益者は、取得税の課税対象に属する不動産につき所有権移転登記を完了する前であっても、委託者の死亡により相続が開始した時点でその不動産を事実上、無償取得したものとみなされ、取得税の納税義務者に該当し、これは韓国地方税法第7条第7項に則って「相続」による取得に属する。これに対し、受益者が有する受益権の内容が、信託財産の処分代金等の金銭の支払を請求できる権利にとどまる場合には、受益者が委託者の死亡により信託財産たる不動産自体について事実上移転を受けたとはいえないのみならず、信託財産の対内外的な所有権者である受託者に対して当該不動産につき所有権移転登記を請求する権利を有するともいえないため、受益者が信託財産たる不動産を取得したとみることはできません。
• 原審は、判示のとおりの理由から、原告およびその家族が本件信託契約に基づき死亡後の受益者として、受託者名義で信託登記がされていた本件マンションの処分代金に関する受益権を取得したとしても、かかる信託受益権は韓国地方税法第7条第1項に掲げる取得税の課税物件に該当しないのみならず、彼らは本件マンションについて所有権はもとより所有権移転登記請求権も取得しておらず、亡き人の死亡により登記なく直ちにその所有権を取得することもできないから、本件マンションを事実上取得したともいえないことから、原告が本件マンションを取得したことを前提とする本件処分は違法であると判断した。原審判決の理由を上記の法理および記録に照らしてみると、このような原審の判断に、上告理由の主張のように韓国地方税法第7条第7項の「信託財産の相続」に関する法理を誤解して判決に影響を及ぼした誤りはない。
3. 示唆
信託法において、信託とは、委託者が受託者に特定の財産権を移転し、またはその他の処分を行い、受託者にして信託目的のために当該財産権を管理・処分させるものをいいます(韓国信託法第1条第2項)。不動産の信託において、委託者が受託者名義への所有権移転登記を完了すると、対内外的に所有権は受託者に完全に移転し、委託者との内部関係においても所有権が委託者に留保されない特徴があります。このように信託の効力として信託財産の所有権が受託者に移転する結果、受託者は対内外的に信託財産に対する管理権限を有しますが、信託目的の範囲内で信託契約の定めに従って信託財産を管理すべきという制約を負うにとどまります(韓国大法院 2002年4月12日言渡 2000ダ70460判決等参照)。
同韓国大法院判決の事案では、死亡後の受益者は遺言代用信託に基づきマンション売却代金に対する受益権を取得したにすぎず、マンションの所有権を取得したことはないと評価するのが合理的である。すなわち、遺言代用信託によりマンションの所有権は委託者であるBから受託者であるCへ移転しており、その状態でBが死亡し、遺言代用信託契約の定めに従ってCがマンションを売却し、その売却代金をAおよびAの家族に支払ったのであって、この過程において法的にAおよびその家族が当該マンションの所有権を事実上取得したと評価することはできません。したがって、上記のような場合、死亡後の受益者が信託された財産そのものを取得したものとみなす別段の規定がない限り、取得税の課税対象に該当しないと解するのが相当です。
今回の大法院判決により遺言代用信託を利用して被相続人の死亡後に不動産の売却代金を受益者に取得させる場合、遺贈により不動産そのものを承継させる場合と比べて取得税を節減できることが明確に確認されました。そのため今後、遺言代用信託を活用した相続・贈与が一層活発化することが期待されます。とりわけ判例事案のように遺言代用信託を通じて被相続人が生前は不動産を従前どおり使用し、被相続人の死亡後に不動産を処分してその売却代金を受益者に交付するなど、被相続人のニーズと意思に即して相続財産を管理・処分できるという点で、遺言代用信託の利点が際立つものと考えられます。
因みに、本件大法院判決の第1審判決が言い渡された後の2024年12月に提出された韓国地方税法の改正案の中には、遺言代用信託および受益者連続信託について、委託者の死亡後に受益者が受益権を取得する時点を基準として信託財産に対する取得税の納付義務を課す旨の条文を新設する案が含まれています。仮に同改正案の内容が反映されて実際に地方税法が改正された場合には、本件大法院判決のように受益者が信託財産の売却代金に対する受益権を取得するケースでも、当該受益権を取得した時に信託財産に対する取得税の納税義務を負うと解される余地があるため、今後の改正動向を注視する必要があります。もっとも、同改正案の内容は、受益者が信託財産を事実上取得したと評価できない場合についても、すなわち取得税の課税要件を充足しない場合も取得税を課すことになりかねない点で論争が予想されるため、慎重な立法上の検討が望まれます。
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