본문
2026年韓国暗号資産産業:10大トピック分析及び展望
- ニュースレター
- 2026.02.11
PDFのダウンロードはこちらをクリックしてください。
2026年は、韓国の暗号資産産業におけるグレーゾーン( Gray Zone )が解消され、明文化された法律及び制度に基づき市場が再編される大きな転換点になると予想されます。
2024年7月に施行された「仮想資産利用者保護等に関する法律」(以下「仮想資産利用者保護法」)が利用者保護及び市場の健全性を確保するための最小限のセーフガードであったとすれば、2026年から本格化する規制環境は、産業の振興、市場構造の再編、そして伝統的な金融との融合に関わる高度化段階に突入することが予想されます。
以下では、2026年の韓国における暗号資産産業の10大主要トピックを選定し、それぞれの主要な論点、現状及び今後の展望について分析します。
10大主要トピック及び展望
ア. [トピック 1] デジタル資産基本法(第2段階立法) の制定と包括的な規制体系の確立
イ. [トピック 2] 韓国ウォン建てステーブルコインの解禁及び「51%ルール」の適用
ウ. [トピック 3] 暗号資産取引所に対する持分制限の導入及びガバナンス体制の再編
エ. [トピック 4] 法人による暗号資産取引の許容拡大及び実名口座の開設
オ. [トピック 5] 金融・暗号資産分離原則の緩和(暗号資産産業へ参入)
カ. [トピック 6] 金融・暗号資産分離の原則(金融機関による暗号資産投資の解禁)
キ. [トピック 7] 韓国内での暗号資産発行(ICO)及び取引所公開(IEO)の解禁
ク. [トピック8] ビットコイン現物ETFの組成・取引の解禁
ケ. [トピック 9] 暗号資産課税の猶予終了への備え及びCARF開始
コ. [トピック 10] セキュリティ・トークン(STO)の制度化及び店頭流通市場の幕上げ
ア. [トピック 1] デジタル資産基本法(第2段階立法) の制定と包括的な規制体系の確立
(1) 論点
第1段階の制定法が利用者保護、市場の健全性確保、相場操縦など不公正な取引行為の規制、暗号資産取引所に対する市場監視義務の賦課にフォーカスを当てているのに対し、第2段階の法案は、暗号資産事業者の分類、事業者別の業務範囲の確定、暗号資産の発行( Issuance )、上場( Listing )、開示( Disclosure )、事業者の不適切な営業行為の規制など、資本市場法に準ずる市場インフラ規制の明確化を図る見通しです。
(2) 現状
2024年の仮想資産利用者保護法が施行された後、金融当局及び国会は第2段階の立法に向けてタスクフォース( TF )を構成し、継続的に議論を重ねてきました。2025年にはグローバルな規制と整合性を図るために、欧州連合( EU )のMiCA(暗号資産市場規制法)や資本市場法上の規制体系を参考にした法案が多数提出されました。
特に政府・与党は、米国においてステーブルコインに関するGENIUS法が成立したことを受け、多数の民間専門家が参画するデジタル資産タスクフォースを発足させ、ステーブルコインの規制を含む第2段階の立法に取り組んできました。
当初は2025年内に第2段階の法案提出を目指していましたが、ステーブルコインの発行主体の要件を巡る議論が紛糾し、法案の具体的な検討が進まないまま2026年を迎えており、現在は第2段階法案の提出時期について不透明感が増している状況です。
(3) 今後の展望
先行きに不透明感が増している状況ではありますが、2026年内に第2段階法案が成立すると予想され、デジタル資産基本法の詳細な施行令や監督規定が実務現場に適用される実質的な「法執行の元年」となる見通しです。
• 市場分類体系の法的確定:2026年には暗号資産がそれぞれの機能に応じて、 ①支払決済型(ステーブルコインなど)、②証券型(STO)、③ユーティリティ型に法的に明確に分類されることになります。ステーブルコインなど支払決済型の暗号資産と、ユーティリティ型の暗号資産は、第2段階の法律により規制され、証券型トークン(セキュリティ・トークン)は資本市場法、電子証券法により規制される見通しいです。
• コンプライアンス費用の増大及び市場の統合:強化される発行・開示義務の負担に耐えられない中小規模のアルトコイン・プロジェクトの淘汰が加速し、生き残った優良プロジェクト( Blue-chip )中心に市場が再編される可能性が高いといえます。また、高度なコンプライアンス能力を備えた大手取引所による寡占体制はより強固なものになると予想されます。
• 暗号資産事業者別の認可・登録手続き:これまでの特定金融情報法に基づく暗号資産事業者の届出受理制度は第2段階の立法により暗号資産事業者別の認可や登録に代替される見通しですが、マネーロンダリング防止のための顧客確認制度、疑わしい取引の報告、トラベルルール、オーダーブックの共有制限、実名確認入出金口座などの制度は維持されることでしょう。
• 海外プロジェクト(財団)発行の暗号資産に対する規律:暗号資産を発行した海外プロジェクトチームが第2段階立法に基づく発行体規制、開示規制を遵守できるか否かにより、多くの海外プロジェクトが韓国内の暗号資産取引所で取引支援終了(上場廃止)になる可能性があります。第2段階立法の規制の程度により多数または相当数の海外プロジェクトによる暗号資産が上場廃止となる恐れがあり、その場合、韓国の暗号資産取引所が国際的に孤立するリスクもあります。規制の国際的整合性についても考慮する必要があります。
イ. [トピック 2] 韓国ウォン建てステーブルコインの解禁及び「51%ルール」の適用
(1) 論点
米国におけるGENIUS法の成立を受け、韓国においても韓国ウォン(KRW)の価値に1:1で連動させたステーブルコインの法的根拠を整備する必要性が高まっており、第2段階の立法においてステーブルコインの規制体系が規定される見通しです。ステーブルコインの発行に際し、発行残高と同等、あるいはそれ以上の安全資産を預託・保管する義務など、利用者保護に関する事項が規定される予定ですが、ステーブルコイン発行主体の要件として金融機関(銀行)による出資(持分保有)を必須条件とすべきかどうかについて、議論が続いています。
• 支払決済の安定性: 通貨の発行及び流通の独占権を有する中央銀行の観点からは、民間企業(特にビッグテック)が通貨に類似した機能を持つステーブルコインを発行した場合、支払決済の安定性に支障をきたす恐れがあるため、発行主体は銀行が持分の過半数(51%以上)を保有するコンソーシアムに制限すべきであるという立場(いわゆる「51%ルール」)です。
• 産業振興及びイノベーション: フィンテック業界は、銀行中心の独占的構造がイノベーションを阻害するという立場であり、プラットフォーム企業やビッグテックが主導するステーブルコインが登場することが、グローバル市場における競争力の確保につながるとの立場です。
(2) 現状及び経緯
米国(PayPal USD)、日本(改正資金決済法による信託銀行・資金移動業者の発行解禁)、欧州(MiCA)など、主要国では既に非銀行民間企業によるステーブルコインの発行が認められ、規制体系の中に組み込まれています。対照的に韓国では、第2段階立法におけるステーブルコイン発行主体の要件を巡り意見が対立しており、立法の遅れが生じている状況です。
現時点までの議論は、銀行主導のコンソーシアム(支払決済の安定性を優先)に収束しつつある様相を呈しています。これは、韓国銀行(中央銀行)による反対が極めて強力であることに加え、近年のグローバルな規制動向も、ステーブルコインの発行主体に対し銀行レベルの健全性を求める傾向にあるためです。
しかしながら、現行の韓国「銀行法」では、銀行による非金融会社の持分保有が原則15%までに制限されています。また、金融産業の構造改善に関する法律に定められている金融機関による株式保有制限を守らなければならないため、仮に51%ルールを導入する場合、これら既存の他法令との整合性をどのように図るかという議論が継続して行われています。
(3) 今後の展望
当初の予想より第2段階の立法に遅れが生じているものの、2026年内には「韓国型ウォン建てステーブルコイン」に関する法的根拠が整備される見通しです。「51%ルール」が実際に導入されるかどうかが最大の焦点であり、仮に導入された場合、銀行とビッグテックによる合弁モデルが、韓国型ウォン建てステーブルコインの標準モデルになると予想されます。
• 特別法を通じて51%ルールの例外適用: デジタル資産基本法の制定、あるいは革新金融サービスへの指定を通じて、銀行法等の既存の金融規制の例外を認め、銀行がステーブルコイン発行のための特定目的会社(SPC)の持分51%を保有できるようにする措置が講じられる必要があります。
• 銀行-ビックテック合弁モデルの標準化: 銀行が信頼性と資金保管( Reserve )を担当し、IT企業(ビッグテックやブロックチェーン企業)が技術開発とプラットフォームを提供するような合弁形態が標準的なモデルになり得ます。
• 海外ステーブルコインへの規制強化: テザー(USDT)やサークル(USDC)といった海外発行のステーブルコインが、韓国国内の取引所においてウォンの代替として使用されることに対する規制が強化される可能性があります。韓国内拠点の設置義務化や韓国内規制の遵守といった要件が導入された場合、海外発行ステーブルコインの韓国市場における影響力は弱まることが予想されます。一方、海外発行ステーブルコインの韓国市場における影響力の減少は韓国ステーブルコイン市場の国際的な孤立を招くリスクも孕んでいます。
ウ. [トピック 3] 暗号資産取引所に対する持分制限の導入及びガバナンス体制の再編
(1) 論点
暗号資産取引所を単なる民間企業ではなく、「公的金融インフラ」と規定し、代替取引所(ATS ※日本ではPTSに相当)水準の所有規制を適用しようとする動きがあります。その主要内容は、大株主の持分比率を15〜20%に制限することです。
• 導入の論理: 特定の大株主に集中した権限を分散させることで、経営の透明性を確保し、取引所の「私物化」を防止し、寡占構造(5大取引所中心の体制)を緩和。
• 反対の論理: 既存の株主に対し、保有株式の処分を事実上強制することになるため、憲法で保障された財産権の侵害や、信託保護の原則違反、さらには遡及立法の禁止の原則に抵触する恐れがあるとの批判。また、大株主の議決権制限は経営の安定性を損ない、結果として取引所の中長期的な投資意欲の減退と、産業競争力の弱体化を招きかねません。
(2) 現状及び経緯
金融当局は、寡占体制が市場リスクを増大させているとの判断のもと、代替取引所(ATS)の議決権制限規定(15%)を準用する案を、第2段階立法の主要な論点として提示しました。本法案が可決されたた場合、暗号資産取引所の大株主をはじめとする主要創業者は、議決権制限を超える持分を強制的に売却しなければならない状況に直面することになります。ただし、国会側は暗号資産取引所の持分制限については、慎重なアプローチが必要であるとの立場をとっている模様です。
(3) 今後の展望
この論点は、2026年の暗号資産業界における最大の「法的争点」になると予想されます。暗号資産取引所に対する持分制限が現実のものとなった場合、第2段階立法を通じて、いわゆる「金融・暗号資産分離原則」の緩和を期待する金融機関や、金融と暗号資産の融合によるイノベーションを模索するビッグテック企業は、暗号資産産業への投資において相当な制約を受けることになるでしょう。
エ. [トピック 4] 法人による暗号資産取引の許容拡大及び実名口座の開設
(1) 論点
2017年の「仮想通貨関連緊急対策」以降、法人および機関投資家は暗号資産取引所の実名入出金口座を開設することができず、暗号資産取引所での取引が制限されてきました。現在、これを制度化し、法人および機関投資家の暗号資産市場への参入を許容するか否かが論点となっています。法人資金の流入は、市場の流動性供給と変動性の緩和をもたらす一方、マネーロンダリングの手段として悪用される懸念も併存しています。
(2) 現状及び経緯
韓国金融委員会は2025年2月、暗号資産委員会を通じて「法人による暗号資産市場参入ロードマップ」を確定しました。
• 第1段階(2025年上期):非営利法人および暗号資産取引所が保有する暗号資産を現金化(処分)するための「売却専用実名口座」の開設を許容
• 第2段階(2025年下期):リスクテイク能力を備えた一部の機関投資家等に限り、投資および財務目的の「売買用実名入出金口座」の開設を許容
• 第3段階(今後議論):一般法人に対する全面的な許容
現在、第1段階は施行されましたが、当初の予想とは異なり、第2段階は施行されていません。
(3) 今後の展望
法人の暗号資産市場参入ロードマップの施行に多少の遅れが生じているものの、2026年は法人による暗号資産市場参入が本格化する元年になると予想されます。法人投資家の市場参入は、単なる財務戦略の範疇を超え、内部統制体系および会計処理基準の確立、カストディ市場の需要拡大にも大きな影響を与える見通しです。
• 企業資金の市場流入:一般営利法人による暗号資産投資が解禁した場合、企業が余剰キャッシュの一部をビットコイン等に分散投資すると予想されます。これは韓国市場特有の「キムチ・プレミアム」の変動性を抑制し、市場の流動性を強化する要因として働きます。
• 暗号資産の会計・税務基準の確立:法人の市場参入に伴い、暗号資産の資産分類、公正価値評価の方法、減損損失の認識等に関する明確な会計処理ガイドラインが確立されると予想されます。
• カストディ( Custody )市場の成長: 法人は内部統制規定上、秘密鍵の自己管理(コールドウォレット)が困難です。そのため、専門のカストディ業者へ資産を預託する需要が急増し、これがカストディ業者の新たな収益源となるでしょう。
オ. [トピック 5] 金融・暗号資産分離原則の緩和(暗号資産産業へ参入)
(1) 論点
金融機関が、暗号資産関連事業(取引所運営、カストディ、ウォレットサービス、ICOの主幹事業務等)を自ら直接営む、または子会社を通じて参入できるようにするために、「金融産業と暗号資産産業を分離する規制」を緩和するか否かが争点となります。
(2) 現状及び経緯
これまで金融機関は、金融・暗号資産分離原則のもと、暗号資産そのものに加え、暗号資産関連事業を営む企業に対する持分投資も制限されてきました。その結果、現状ではカストディの合弁会社等に対する限定的な出資にとどまっています。
金融機関による暗号資産産業への参入をどの程度まで認めるかについては、第2段階立法の過程で議論される見通しです。
(3) 今後の展望
暗号資産産業を取り巻く不確実性が依然として大きい中で、伝統的な金融機関が暗号資産産業へ積極的に参入する動きを見せるとは考えられません。もっとも、暗号資産の投資運用や、暗号資産の保管・管理(カストディ)は、金融機関が従来から担ってきた金融業務と類似していることを踏まえると、金融機関が金融と暗号資産の融合に伴う事業機会を捉え、新規事業として参入する可能性があり、その前提として、金融機関の付随業務として暗号資産事業を認めるべきかどうかなどについて、今後議論が進む余地があります。
カ. [トピック 6] 金融・暗号資産分離の原則(金融機関による暗号資産投資の解禁)
(1) 論点
トピック5が「事業( Business )」の問題であるのに対し、トピック6は、金融機関が自己資本により暗号資産を「保有」または「投資」できるかという「資産運用」の問題です。これは金融システムの健全性と直結する領域であり、慎重な制度設計が求められます。
(2) 現状及び経緯
韓国の金融当局は、2017年の「仮想通貨関連緊急対策」以降、一貫して金融機関による暗号資産への直接投資に否定的な立場を示してきました。金融当局は、金融機関による暗号資産への直接投資、暗号資産関連企業への投資、海外で組成・上場されたビットコインETFへの投資、海外のデジタル資産関連企業(DAT企業)への投資についても、否定的な姿勢を示しています。
(3) 今後の展望
2026年においても、金融機関による暗号資産への直接投資は引き続き制限される見通しであり、暗号資産を対象とする間接投資商品の導入も限定的にとどまると予想されます。したがって、金融機関にとっての暗号資産関連の投資機会は、短期間で拡大するというより、政策・制度面での検討が中長期的に継続される可能性が高いと考えられます。
• 直接投資禁止の維持:金融当局は、システミック・リスクの波及を防止する観点から、銀行・保険会社等が価格変動の大きい暗号資産を直接保有することを、今後も認めない可能性が高いと見込まれます。
• 間接投資商品:直接投資の禁止が維持される限り、暗号資産投資ファンド等の間接投資商品についても、同様に認められない可能性が高いと考えられます。
キ. [トピック 7] 韓国内での暗号資産発行(ICO)及び取引所公開(IEO)の解禁
(1) 論点
2017年の「仮想通貨関連緊急対策」により、ICO・IEO等、いかなる形態であっても韓国内での暗号資産発行が禁止されてから、韓国企業はシンガポール等に海外法人を設立して暗号資産を発行し、韓国国内の取引所に上場させるという歪な構造を取ってきました。この状況を、第2段階立法を通じて制度の枠内に取り込むかが主要な争点です。
(2) 現状及び経緯
前政権は、国政課題として「IEO(Initial Exchange Offering)から段階的に認める」方針を掲げていました。IEOとは、暗号資産事業者として当局に届出を行い受理された暗号資産取引所が、プロジェクトを一次的に審査した上で、当該暗号資産の取引を支援(上場)する形で発行を行うスキームをいいます。これは投資家保護措置を前提に暗号資産発行を認める趣旨でした。しかし、ICO・IEOの解禁の可否は、仮想資産利用者保護法の制定時に第2段階立法の課題として先送りされた後、戒厳、政権交代が行われる中、議論自体が停滞している状況です。
(3) 今後の展望
第2段階立法の内容には、韓国内でのICO解禁に関する規定が盛り込まれる可能性が高いと見込まれます。そのため、2026年は韓国内の暗号資産発行市場が再び開かれる年となり得ます。
• 韓国型IEOモデルの導入: 第2段階立法に基づき、当局への暗号資産事業者届出が受理された暗号資産取引所に限ってIEO資格が付与される可能性があります。発行体はホワイトペーパー、技術資料、事業計画等を提出し、暗号資産取引所の取引審査委員会の承認を受けた場合にのみ発行が可能となり、暗号資産の発行に関して、発行体・取引所・運営主体が一定の責任を負う制度設計となる可能性があります。
• 発行体責任の強化: 過去とは異なり、発行体は有価証券届出書に準じるレベルの開示義務を負う可能性があり、虚偽情報の提供があった場合には、資本市場法レベルの刑事処罰が科される可能性があります。これは、いわゆる「スキャムコイン」のむやみな出現を抑止するための制度的措置と位置付けられます。
ク. [トピック8] ビットコイン現物ETFの組成・取引の解禁
(1) 論点
米国SECが2024年1月にビットコイン現物ETFを承認し、香港等もこれに続いた一方で、韓国の金融当局は「暗号資産が資本市場法上の金融投資商品における基礎資産に該当するかが明確ではない」との立場を維持し、海外のビットコイン現物ETFへの投資を制限しています。このため、韓国内でビットコイン現物ETFの組成・取引を認めるためには、かかる法解釈を変更するか、又は資本市場法を改正する必要があるか否かが主要な争点となっています。
(2) 現状及び経緯
韓国国内の投資家は、(米国等の)海外市場に上場されたビットコインETFを購入できず、投資選択肢が不当に制限されているとして不満を強めてきました。与野党はいずれも、2024年の総選挙公約等でETF解禁を約束し、さらに2025年の大統領選公約としてもETF解禁を掲げています。韓国金融委員会(FSC)は投機心理の助長や資本流出を懸念し慎重な姿勢とされていますが、大統領選の公約として明示されていることから、ビットコインETFの解禁に向かう可能性が高いと見込まれます。
(3) 今後の展望
ビットコインETFの組成にあたっては、事前に解決すべき法的課題が多岐にわたるため、2026年に直ちに組成が認められるというよりは、インフラ問題の解決など組成に向けた事前準備が先行して進められる必要があります。ビットコインETF組成のために解決されるべき法的課題は以下のとおりです。
• 資本市場法の改正または有権解釈の変更:第2段階立法と連動し、資本市場法施行令等の改正を通じて、暗号資産を基礎資産の範囲に含める措置が必要となります。
• カストディインフラ:信託業者による暗号資産の受託・保管に関する法的根拠に加え、金融機関・法人によるビットコインの直接保有・取得、および取引ルート(国内取引所へのアクセス、海外送金規制)について、明確化する立法・解釈の整理が必要です。
• 取引所市場の位置づけ:暗号資産取引所を資本市場法上の「取引所又はこれに準ずる市場」としてどのように認めるか、またビットコイン価格をETFの基礎指数として採用するための制度的基準を整備する必要があります。
• 海外指数依存の低減:海外のビットコインベンチマーク指数への依存度を下げ、法人・機関・外国人の参加拡大等を通じて韓国国内暗号資産市場の価格公正性と流動性を高め、国内指数に基づく基礎資産価格体系を構築する必要があります。
• 流動性供給とヘッジ手段の制約への対応:韓国国内でビットコイン関連のデリバティブ市場が未整備であるため、LPによる現物・先物ヘッジが制約されます。適切な規制の下でヘッジ目的のデリバティブ市場や代替手段を整備し、流動性供給の枠組みを制度的に補完する必要があります。
ケ. [トピック 9] 暗号資産課税の猶予終了への備え及びCARF開始
(1) 論点
暗号資産投資による所得への課税(その他所得、控除額250万ウォン、税率22%)の開始時期は、当初2025年とされていましたが、2027年1月1日へ2年間猶予されました。もっとも、課税の猶予とは別に、OECD主導の「暗号資産等報告枠組み(CARF: Crypto-Asset Reporting Framework)」に基づく取引情報の収集・交換義務は、2026年から開始されます。
(2) 現状及び経緯
2024年12月の所得税法改正案が可決され、課税開始時期は先送りされましたが、韓国政府は国際的な租税協力の一環としてCARFへの参加を確約しています。これにより国税庁は課税インフラを整備し、2026年からは国内取引所(非居住者に限定)に加え、海外取引所利用者に関する情報も収集し得る法的権限を確保することになります。
(3) 今後の展望
• 情報収集の開始:2026年1月1日から、韓国国内の暗号資産事業者(VASP)は、新規・既存顧客について、海外での納税義務に関する情報(TIN等)を収集することが義務化し、収集に応じない顧客については、取引が制限され得ます。もっとも、対象顧客は「非居住者」である一方、韓国国内の暗号資産取引所では非居住者の取引が認められていないため、暗号資産取引所が義務を履行することにおいて、負担は大きくないと見込まれます。
• グローバルな租税監視網の稼働:韓国国税庁は、CARF参加国(米国、日本、シンガポール等)から、韓国居住者が海外取引所で行った取引履歴の提供を自動的に受けることになります。これは、国外脱税を実質的に抑止する効果が見込まれ、海外取引所利用者にとって大きな心理的プレッシャーとなり得ます。
• 取得価額の算定を巡る混乱の可能性:2027年の課税開始を控え、2026年末にかけて、投資家が保有する暗号資産の取得価額を立証する動きや、みなし取得価額(2026年末時点の時価と実際の取得価額のいずれか有利な額)の適用を念頭に置いた売買戦略の策定が活発化すると予想されます。
コ. [トピック 10] セキュリティ・トークン(STO)の制度化及び店頭流通市場の幕上げ
(1) 論点
暗号資産(非証券型)とは区別されるセキュリティ・トークン(STO)について、その発行・流通を可能にする資本市場法及び電子証券法の改正案が2026年初頭に韓国国会で可決されたことにより、2026年はSTO市場が実質的に開幕する元年になると見込まれます。
(2) 現状及び経緯
不動産、美術品、音楽著作権、韓牛(韓国産牛)等を小口化して投資する、いわゆるフラクショナル投資(STO)は、これまで金融規制サンドボックス(革新金融サービス)という例外的な枠組み下でのみ限定的に認められてきました。しかし、改正法の成立により、正式に店頭取引仲介業(OTCブローカー)ライセンスを取得し、セキュリティ・トークンの流通市場を開設することが可能になり、現在、店頭取引仲介業の認可手続が進められています。
(3) 今後の展望
2026年の最大の注目点は、「セキュリティ・トークンの店頭市場(OTC)の先取り」となる見通しです。米国ではあらゆる証券のトークン化を図る政策が採られており、セキュリティ・トークンの発行・流通が本格化する中で、韓国においても証券のトークン化に関する政策議論が活発化すると予想されます。
• 店頭取引(OTC)競争の本格化:韓国取引所(KRX)の上場市場とは別に、店頭取引プラットフォームが2026年から本格稼働し、非流動資産(不動産等)について流動性を大幅に高める契機となり得ます。
• 一般投資家の投資上限を巡る論点:市場活性化の観点から、業界は一般投資家の年間投資上限の引上げを求めると見られますが、金融当局は初期市場の過熱や不適切な販売を懸念し、保守的な上限設定を行う可能性が高いと考えられます。
• 対象資産の拡大:K-popコンテンツのIP、ウェブトゥーン収益権、船舶ファイナンス、カーボンクレジット等、従来は証券化が容易でなかった多様な資産が、2026年にセキュリティ・トークンとして発行・流通するのか、活性化の鍵は収益性に対する市場評価にあります。
法務法人(有限)和友のデジタル金融センターおよび暗号資産PGは、金融機関、プラットフォーム企業、フィンテック企業、暗号資産事業者等に対する多様なリーガルアドバイザリーを通じて蓄積した経験・ノウハウを基に、クライアントの皆様に最適なリーガルサービスを提供しております。
ご不明点やご相談事項がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
- 業務分野
- #デジタル金融センター