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【韓国】悖徳相続人の相続権喪失 および遺留分制度の全面改正

  • ニュースレター
  • 2026.03.13

2026年2月12日、韓国において相続および遺留分制度を全面的に改正する民法改正案が国会本会議で可決されました。改正案の主な内容は次の4点です。(1)著しい非行(悖徳)をした全ての相続人に対し相続権を失わせる、(2)相続権を喪失した者の配偶者は代襲相続ができない、(3)寄与した相続人が報償として得た贈与は遺留分などから除外できる、(4)遺留分の返還時に贈与された財産そのもの(現物)ではなく価額(現金)で返還する。

 


1. 相続権喪失宣告の対象拡大(父母からすべての相続人へ)

2. 相続権喪失者の配偶者による代襲相続の禁止

3. 寄与相続人が受けた報償的贈与の保護

4. 遺留分返還方法:価額(金銭)返還に変更

5. 適用時期および遡及適用の範囲(附則)

6. 示唆


 

1. 相続権喪失宣告の対象拡大(父母からすべての相続人へ)

 

従来、未成年の子を虐待した父母など直系尊属に対してのみ認められていた相続権喪失宣告の対象が、今回の改正により、直系卑属(子)および配偶者を含むすべての相続人に拡大されました(民法第1004条の2)。被相続人に対する扶養義務の重大な違反、重大な犯罪行為、または著しく不当な扱いをしたすべての相続人に対し、家庭裁判所へ相続権喪失の請求を行うことが可能となります。

 

 

2. 相続権喪失者の配偶者による代襲相続の禁止

 

従前は、著しい非行行為(悖徳行為)等により相続人となるべき者が相続欠格や相続権喪失宣告を受けた場合でも、その配偶者が代わって相続することができました。しかし、著しい非行をした相続人が配偶者の代襲相続を通じて間接的に財産を受け継ぐことは不当であるとの指摘を受け、今後は相続権を失った者の配偶者は代襲相続人から除外されます(民法第1001条、第1003条)。これにより、死亡した相続人の配偶者のみが代襲相続人になることができます。

 

 

3. 寄与相続人が受けた報償的贈与の保護

 

被相続人を長期間介護するなど特別に扶養したり、財産の形成・維持・増加に特別の寄与をした対価として贈与または遺贈された財産は、特別受益から除外され、遺留分返還の対象等から外れることが可能となります(民法第1008条但書)。

 

 

4. 遺留分返還方法:価額(金銭)返還に変更

 

これまで韓国の遺留分返還は、贈与された財産そのもの(現物)を返還することが原則であり、価額返還は例外的な場合にのみ認められていました。そのため、不動産や株式そのものを遺留分として返還する過程で、共同相続人間で新たな紛争が生じるケースが多々ありました。改正案では、遺留分の返還方法を価額(現金)返還に一本化しました(民法第1115条)。

 

 

5. 適用時期および遡及適用の範囲(附則)

 

遺留分の価額返還規定は、改正民法の施行後に開始された相続から適用されます。一方、その他の規定(相続権喪失対象の拡大、相続権喪失者の配偶者の代襲相続禁止、寄与相続人の報償的贈与の保護)については、2024年4月25日以降に相続が開始された事案に遡及して適用されます。

 

 

6. 示唆

 

著しい非行(悖徳)をした相続人を相続から排除し、寄与相続人が保護される道が開かれたことを受け、事前の法的助言を通じて遺留分返還請求等の相続紛争に備えることができます。

 

 

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