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【韓国】ゲーム音源の「買取り」契約、著作財産権の譲渡とは認められない

  • ニュースレター
  • 2026.04.01

「ゲーム音源市場において慣行として通用してきた『買取り』契約が、果たして著作財産権の譲渡を意味するのか」。韓国大法院は2026年1月、原審とは真っ向から異なる結論を下し、この問いに対する答えを提示しました。韓国大法院は、契約書に著作財産権の譲渡の事実が外部的に表現されていない限り、著作者に権利が留保されているものと推定すべきであるという法理を改めて明らかにし、「買取り」という用語が直ちに著作財産権の譲渡を意味するものではないことを明示しました。この判決は、コンテンツ制作契約を締結するすべての企業およびクリエイターに対し、契約書作成の方式と水準を再点検するよう促す重要な先例になるでしょう。

 

本ニュースレターでは、「買取り」契約と著作財産権の譲渡に関する大法院の判決内容、さらに当該判決が事業者に与える影響が何かについて考えたいと思います。

 


1. 背景

2. 原審と大法院の判断の比較

3. ゲーム業界における「買取り」慣行

4. 大法院判決の要点

5. 実務上の示唆

6. ゲーム音源契約の実務チェックリスト

7. 結論


 

1. 背景

 

原告(音楽クリエイター)は2011年7月にゲーム会社Aと契約を結び、Aのリズムゲームに使用する音源を制作・供給しました。対価は基本提供音源1曲当たり150万ウォンと定められ、原告は当該音源を韓国音楽著作権協会に登録しない義務および、競合他社に音源を提供しない義務を負うことにしました。

 

その後、A社が破産し、被告である株式会社Bが関連事業および音源利用権限を承継しました。これに対し、原告は被告株式会社Bが自身の著作財産権を侵害し、または法律上の原因なく利益を得たと主張し、不当利得返還および損害賠償を請求しました。

 

本件の最も主要な法的争点は、「音源供給契約は『著作財産権の譲渡契約』であるか、それとも『著作財産権の利用許諾契約』であるか」という点でした。

 

 

2. 原審と大法院の判断の比較

 

原審と大法院は、同一の契約書を巡って、正反対の結論を導き出しました。

 

 

 

原審の論拠

 

原審は以下の理由を挙げ、本契約を「著作財産権の譲渡契約」であると判断しました。

 

契約書上の「著作権」の定義(著作権法による源泉的権利)は、著作権法第10条の概念とは異なる解釈をされる余地があるため、契約第5条の「著作権を除外」という文言があるからといって、直ちに著作財産権が原告に帰属するとはされない。

「買取り」は著作物に対する著作財産権を譲り受ける形態を意味するため、これを通じて「一切の営利活動を行う権利」が移転した以上、これは著作財産権の譲渡に該当する。

韓国音楽著作権協会への未登録義務および使用終期の未設定は、永久的な権利移転を示唆している。

契約第5条の「著作権を除くすべての権限」という条項は、譲渡不可能な「著作人格権」および「二次的著作物作成権」が原告に残っていることを確認する趣旨に過ぎない。著作財産権の譲渡契約と捉えても、文言の可能な意味を逸脱するものではない。

 

 

大法院の論拠

 

大法院は原審の判断構造に反論し、正反対の結論を下しました。

 

契約書には、Aが原告から移転を受ける権利のうち、「著作権」を明示的に除外すると記載されており、著作財産権の譲渡に関する別途の規定も存在しない(著作権の譲渡の事実が外部的に表現された証拠もない)。

契約書上の「著作権」概念が、著作権法第10条の定義と異なる解釈をされるべき理由はない。

「買取り」は出版契約において発行部数に関わらず対価を一括で受け取り、印税を排除する対価支払方式を意味することもある。したがって、本契約において「買取り」が直ちに著作財産権の譲渡を意味すると読み取るべき特別な事情はない。

Aが必ずしも著作財産権を譲り受けなければ契約目的(リズムゲーム音源の使用)を達成できないわけではない。協会への未登録義務や使用終期の未設定は、Aの独占的使用を保障するためのものに過ぎないと読み取れる。

 

 

3. ゲーム業界における「買取り」慣行

 

今回の判決の背景を理解するためには、ゲーム産業において「買取り」がどのような文脈で使用されてきたかを確認する必要があります。

 

ゲームはキャラクターアート、背景イラスト、サウンド、プログラミングなど、数多くの外注製作物が結合された「総合著作物」です。ゲーム会社としては、グローバルパブリッシング、二次的著作物の制作、IP展開(ウェブトゥーン・アニメ・グッズ等)などの多様な事業化のため、個別の製作物に対する権利を統合的に確保する必要がありました。そのため、外注段階で対価を一括で支払い、関連する権利を包括的に譲り受ける「買取り」による仕組みが業界全般に広く定着しています。

 

ただし、分野によってその様相は多少異なります。キャラクターアートやイラスト分野では「一括支払い+著作財産権の一括譲渡」の仕組みが比較的明確に定着している一方で、本件のようなBGM・サウンド分野では、ゲーム内挿入権、OST発売権、上演権、海外配給権などの権利を分離して設計する事例も多く、業界内でも「完全な買取り」が一貫して適用されてきたとは言い難い面があります。実際に、大型IPゲームを中心にロイヤリティや別途契約を併用する方式が拡散しており、完全な買取りによる仕組みは徐々に減少する傾向にあります。

 

このような業界の現実に照らせば、「買取り」という用語が使用されたとしても、それが直ちに著作財産権の譲渡を意味するという認識が業界内で常に共有されてきたわけではありません。今回の大法院判決は、このような実務上の混乱に対し、明確な法的基準を提示したという点で意義があります。

 

 

4. 大法院判決の要点

 

前述のようなゲーム業界における「買取り」慣行を考慮すると、今回の判決で大法院が示した中核的な法理は以下の二つです。

 

著作者保護推定の原則

 

「著作権に関する契約を解釈する際、それが著作財産権の譲渡契約であるか否かが明白でない場合、著作財産権の譲渡の事実が外部的に表現されていなければ、著作者に権利が留保されているものと、有利に推定すべきである。」

この原則は、契約の文言が不明瞭な場合、著作者に有利な方向に解釈すべきであることを意味します。言い換えれば、著作財産権を譲り受けようとする側が、著作権者の著作財産権譲渡の意思が契約書に明確かつ外部的に表現されているという点について、立証責任を負うという意味であると解されます。

 

契約解釈の総合的基準

 

著作財産権が譲渡契約に該当するか否かは、契約の文言のみならず、契約締結の動機や経緯、契約を通じて達成しようとする目的、当事者の真の意思などを総合的に考慮し、慎重に判断しなければなりません。特に大法院は、「契約目的の達成に著作財産権の譲渡が必ずしも必要ではない」という点を論拠の一つとして提示しましたが、これは、実務上、利用許諾契約だけでも十分な事業目的を達成できる場合が多いことを示唆しています。

 

 

5. 実務上の示唆

 

ア. 契約書に「著作財産権の譲渡」を必ず明文化すること

 

本判決が示す中核的な実務上の示唆は、著作財産権の譲り受けを主張する者が、著作権の著作財産権譲渡の意思が契約書に明確かつ外部的に表現されていることを立証する責任を負うため、財産権を譲り受けようとする当事者としては、契約締結段階において著作財産権譲渡の意思を契約書に明示的・外部的に明確に表現しておく必要があることです。 ちなみに、韓国科学技術情報通信部の「デジタルコンテンツ(請負)標準契約書」は、著作財産権の譲渡の有無を「譲渡する / 譲渡しない / 後日協議する」のいずれかにチェックするよう明示的に規定しています。この標準契約書の在り方から分かるように、著作財産権の帰属は契約当事者間の実質的な協議を経て、契約書に明確に記載されなければなりません。「営利活動に必要なすべての権利を移転する」といった包括的な文言だけでは、著作財産権の譲渡の効力が認められない可能性があることに留意する必要があります。

 

イ. 「買取り」は著作財産権の譲渡ではないという認識を持つこと

 

コンテンツ・ゲーム業界では長年、「買取り=著作財産権の譲渡」として慣行的に使用されてきましたが、大法院はこの等式を明示的に否定しました。「買取り」は対価の支払方式(一括払い・印税の排除)を意味し得るだけで、それ自体で著作財産権移転の効力を発生させるものではありません。したがって、契約書に「買取り」という用語を使用する場合、その意味を契約書内で具体的に定義するか、著作財産権の譲渡条項を別途設ける方法で補完しなければなりません。

 

 ウ. 事業構造に基づいた契約形式の戦略的選択 

 

著作財産権の譲渡、独占的利用許諾、非独占的利用許諾のうち、どの契約形式を選択するかは、事業構造やリスク管理戦略によって異なります。

 

 

特に独占的利用許諾契約の場合、今回の大法院判決が示す基準に照らせば、契約の独占性、期間、範囲、再許諾の可否などを契約書に細かく規定しておくことが、将来の紛争を予防する上で効果的です。

 

エ. 倒産または営業譲渡時における再許諾権限の明示

 

本件のように、原契約の相手方が倒産し、第三者が事業を承継する場合、原契約が「著作財産権の譲渡」であるか「利用許諾」であるかによって、承継人の音源使用権限の有無が異なります。著作財産権の譲渡ではなく「利用許諾契約」と判断される場合、許諾の効力は原契約の当事者に限定されるため、原著作者の同意を得ずには第三者への再許諾が不可能になりかねません。利用許諾契約上の地位が、倒産・合併・営業譲渡などの事由により第三者に移転できるか否かも、契約書に明確な根拠がない限り不透明になる恐れがあります。したがって、契約締結時には、倒産、合併、営業譲渡など契約当事者の変動が予想される状況をあらかじめ想定し、契約上の地位の移転の可否および再許諾権限の範囲を契約書に明示的に規定しておくことが必要です。

 

 

6. ゲーム音源契約の実務チェックリスト

 

本判決において裁判所が直接検討した事項を中心に、ゲーム音源契約の締結または検討時に確認すべき主要項目をまとめました。

 

 

 

7. 結論

 

今回の大法院判決は、コンテンツ産業全般にわたって慣行的に使用されてきた「買取り」契約の法的性質について、重要な基準を示しました。契約書に著作財産権の譲渡の事実が明示されていない限り、その権利は著作者に留保されているものと推定されるという法理は、クリエイターと利用事業者の双方の契約実務に相当な影響を及ぼします。利用事業者の立場では、漠然と「買取りですべての権利を譲り受けた」という認識に安住してはならなくなり、契約書上に譲渡の意思が外部的に表現されていない場合、その権利の帰属を巡る紛争において不利な立場に置かれる可能性があります。一方、クリエイターの立場では、契約の文言が不明確な場合、事後に権利を主張できる余地が拡大しました。

 

今回の判決が示す実務上の示唆は明確です。著作財産権の帰属に関する合意は、常に契約書に明文で表現されるべきであり、契約締結段階における文言一つが、事後の紛争の命運を分ける可能性があるという点を、改めて示しています。

 

 

和友のゲームセンターは、ゲーム産業において高い専門性を備えた専門家、および関連機関で多様な実務経験を積んだ専門人材で構成されております。ゲーム分野に関するあらゆる法的問題に対し迅速に対応できるよう、発生する可能性がある課題についてあらかじめご案内し、それに応じたタイムリーなサポートを提供いたします。ご不明な点やご相談がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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