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【韓国】電子商取引法 改正施行令の立法予告: 海外事業者に対する国内代理人指定基準の公表

  • ニュースレター
  • 2026.05.07

公正取引委員会は、2026年3月11日、「電子商取引等における消費者保護に関する法律施行令」改正案を立法予告し、これまで大統領令に委任されていた海外の通信販売業者および通信販売仲介業者に係る国内代理人指定基準を、初めて具体化しました。今回の施行令改正案によれば、韓国内に住所又は営業所を有しない海外事業者のうち、前年度の総売上高が1兆ウォン以上である場合、又は前年度末を基準として直近3か月間にサイバーモールへアクセスした韓国内消費者数が月平均100万人以上である場合等には、国内代理人の指定義務が課されます。関係事業者においては、法律の施行日である2027年1月21日までに、自社が国内代理人指定義務の対象に該当するか否かを速やかに確認するとともに、事前の対応体制を整備する必要があります。

 


1. 背景

2. 国内代理人の指定基準および指定後の手続

3. 国内代理人の役割および法的責任の構造

4. 違反時の制裁

5. 実務上の示唆および留意点


 

1. 背景

 

2025年12月30日に韓国国会の本会議で成立した電子商取引法改正案は、越境ECの拡大およびこれに伴う消費者被害の増加を背景として、一定規模以上の海外事業者に対し、国内代理人の指定を義務付けています。その後、改正法は2026年1月20日に公布されましたが、国内代理人の指定基準については大統領令に委任されていたため、各企業において自社が義務対象に該当するか否かを判断することが困難な状況にありました。もっとも、今回の施行令改正案が2026年3月11日から2026年4月20日まで立法予告され、当該基準が初めて公表されたことにより、対象となり得る事業者は、具体的な義務履行計画および対応体制の整備に着手することが可能となりました。

 

 

2. 国内代理人の指定基準および指定後の手続

 

改正施行令は、韓国内に住所又は営業所を有しない通信販売業者又は通信販売仲介業者のうち、国内代理人指定義務を負う者の基準として、以下の3つを定めており、いずれか一つに該当する場合には当該義務が発生します。

 

① 売上高基準

 

前年度(法人の場合は直前事業年度)の総売上高が1兆ウォン以上である者

売上高は、前年度の平均為替レートを適用して韓国ウォンに換算

 

② 韓国内消費者数基準

 

前年度末を基準として直近3か月間にサイバーモールへアクセスした韓国内消費者数が月平均100万人以上である者

 

③ 公正取引委員会による資料提出要求基準

 

電子商取引法違反により消費者被害が発生し、又は発生するおそれがある場合であって、公正取引委員会から報告又は資料・物の提出を求められた者

なお、改正施行令は、国内代理人指定後の手続についても具体化しています。

国内代理人を指定した事業者は、指定後に遅滞なく、公正取引委員会に対し、当該代理人に関する情報(氏名、住所、電話番号および電子メールアドレス)を書面で提出しなければなりません。また、自ら運営するサイバーモール等のトップページに、当該情報を公表する必要があります。

海外事業者が設立した、又は役員構成若しくは事業運営等について支配的影響力を行使している韓国内法人が存在する場合には、当該法人を国内代理人として指定しなければなりません。

 

 

3. 国内代理人の役割および法的責任の構造

 

改正電子商取引法上の国内代理人は、海外事業者に代わって一定の法定義務を韓国内において履行する主体です。

 

具体的には、海外事業者の国内代理人は、消費者被害の補償、消費者の苦情又は紛争処理に関する事項のほか、公正取引委員会の調査に関連する処分の履行を代理します。

 

したがって、国内代理人は、海外事業者の単なる連絡窓口にとどまるものではなく、消費者保護および公正取引委員会対応に関する実務を実際に担う役割を果たすことになります。

 

また、改正電子商取引法は、国内代理人の行為に関する責任の帰属についても明確に規定しています。すなわち、国内代理人が上記の代理業務に関連して電子商取引法に違反した場合には、当該国内代理人を指定した海外事業者がその違反行為を行ったものとみなされます。

 

 

4. 違反時の制裁

 

国内代理人に関する義務に違反した場合の制裁について、法律および改正施行令は以下のとおり定めています。

 

ア. 過料の賦課基準

 

イ. 営業停止処分の基準

 

国内代理人の未指定、不適法な国内代理人の指定、情報の未提出・未公開、又は有効な連絡手段の未確保があった場合には、是正命令に加え、1回目の違反で3か月、2回目の違反で6か月、3回目の違反で12か月の営業停止処分が科されることがあります。

 

 

5. 実務上の示唆および留意点

 

今回の施行令改正案により、国内代理人の指定基準が具体化されたことを踏まえ、関係事業者においては、特に以下の点に留意する必要があります。

 

第一に、自社が義務対象に該当するか否かを直ちに確認する必要があります。前年度の総売上高が1兆ウォン以上であるか、又は前年度末を基準として直前3か月間にサイバーモールへアクセスした韓国内消費者数が月平均100万人以上であるかを基準として、自社が国内代理人指定義務の対象に当たるかを検討する必要があります。特に、海外事業者が設立した、又は支配的影響力を行使している韓国内法人が存在する場合には、当該法人の中から国内代理人を指定しなければならないため、グループ内の韓国内法人の構造についても併せて点検する必要があります。

 

第二に、国内代理人の選定および運用体制を早期に構築する必要があります。 国内代理人は、消費者の苦情・紛争解決に必要な措置や、公正取引委員会の調査対応を担うことになります。また、国内代理人が関連義務に違反した場合には、当該代理人を指定した海外事業者がその行為を行ったものとみなされます。したがって、代理人の権限および責任、本社との報告・承認体制、消費者苦情および調査対応プロセスについて、あらかじめ明確に整備しておく必要があります。

 

第三に、施行スケジュールを踏まえたロードマップを策定する必要があります。国内代理人制度自体は2027年1月21日から施行され、改正施行令上の営業停止および過料の賦課基準は2027年2月21日から施行される予定です。もっとも、対象該当性の検討、国内代理人の選定、内部プロセスの構築等には相当の時間を要し得ることを踏まえると、関係事業者としては、今から段階的な準備に着手することが望ましいといえます。

 

今回の施行令改正は、これまで規制の死角となっていた海外電子商取引事業者に対する韓国内での法執行を、実質的に強化する重要な契機となるものと考えられます。韓国内において大規模なサービスを運営する海外の通信販売事業者又は通信販売仲介事業者にとっては、今回の改正が直接的な影響を及ぼし得るため、具体的な適用可能性および対応方針について、慎重に検討する必要があります。

 

 

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