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【韓国】70年ぶりのスパイ罪改正、 クロスボーダービジネスにおける対応戦略

  • ニュースレター
  • 2026.05.14

国会は、2026年2月26日、スパイ罪の適用範囲を「外国またはこれに準ずる団体」まで拡大する刑法一部改正法律案を本会議で可決しました。本ニュースレターでは、2026年9月13日に施行を控えている刑法改正案の内容を概説したうえで、外資系企業およびクロスボーダービジネスを営む企業が6か月の猶予期間中に点検すべき事項について解説します。

 


1. 改正の内容

2. 法改正に伴うリスク診断:国家機密の範囲と境界

3. 実務上の対応戦略:グローバル情報交流プロトコルの再整備

4. おわりに


 

1. 改正の内容

 

今回の刑法改正の主な内容は以下のとおりです。

 

外国等を対象にしたスパイ罪の新設(第98条の2)-「敵国」に限定されていたスパイ罪の対象を「外国および外国団体」まで拡大。外国等の指令の下で国家機密を収集・漏えいした場合、3年以上の有期懲役に処する。

 

同盟国に対する適用除外(第104条)-友好国との情報交流および安全保障協力を考慮し、同盟国に対する行為は適用除外。

 

 

2. 法改正に伴うリスク診断:国家機密の範囲と境界

 

スパイ罪の客体である「国家機密」の概念は明示的に定義されていないため、その範囲は主に判例により形成されるものと考えられます。ただし、大法院は、国家保安法上の「国家機密」について、韓国内ですでに広く知られている公知の事実等に属しないものであり、かつ漏えいされた場合に国家の安全に危険をもたらすおそれがあり、機密として保護する実質的価値を備えている必要があると判示したことがあります(大法院1997年9月16日宣告97ド985全員合議体判決)。

 

上記判例を参考にすると、刑法上の国家機密には、(i) 国家先端戦略産業法上の国家先端戦略技術、(ii) 産業技術保護法上の国家核心技術・先端技術等の産業技術、(iii) 不正競争防止法上の営業秘密がいずれも含まれるものとして広く解釈される可能性がありますが、「実質的価値」という観点からは、国家先端戦略技術または産業技術に準ずる重要性が求められる可能性が高いと考えられます。

 

刑法、国家先端戦略産業法、産業技術保護法、不正競争防止法等、各法律の適用要件および保護法益が複雑に絡み合っているため、知的財産権、刑事・コンプライアンス分野を横断する統合的な法律助言を通じて、取扱情報の法的性質を事前に分類し、内部統制体制を構築する必要があります。

 

 

3. 実務上の対応戦略:グローバル情報交流プロトコルの再整備

 

国家情報院は、今回の改正を契機として、機密漏えいを国家の存立に直結する重大なスパイ行為と位置付け、韓国法務省・産業通商資源省等との政府横断的な協力ネットワークの構築を推進すると表明しました。実務上リスクが予想される場面としては、外資系企業による本社への報告、海外法人との技術データ共有等が挙げられます。これまで慣行的に行われてきた情報交流が、場合によっては「外国のための国家機密漏えい」と誤認されるおそれがあるため、そのようなことがないよう、情報提供の範囲および手続を明確に統制する必要があります。

 

そのため、法施行前の6か月の猶予期間中に、企業は情報交流プロトコル、秘密保持契約(NDA)および社内セキュリティ取扱規程を再整備する必要があります。韓国産業通商資源省も「2026年技術保護専門コンサルティングおよびセキュリティ設備構築支援事業」を公示し、技術流出を国家産業競争力に対する脅威と捉え、企業のセキュリティ支援を強化しています。このような政府政策の流れに合わせ、法律専門家を通じて社内セキュリティシステムを高度化し、コンプライアンス体制を構築する必要があります。

 

 

4. おわりに

 

刑法改正は、先端技術と経済安全保障が企業競争力の中核となっている現在、経営全般に重大な影響を及ぼし得る法改正であるため、企業は2026年9月13日の施行前までに法改正の内容を綿密に検討し、実務に直ちに適用可能な具体的なコンプライアンス戦略を策定すべきです。

 

 

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